メモ

以下、なんとなく考えたこと・感じたことをなるべく整理した形で文字に起こして視覚化しました。ツッコミどころ満載かと思いますので、出来たら香りだけ感じてもらって、参考程度にお願いします。それっぽく書いてあっても、今はまるっきり意見が変わってるなんてことがよくあります。人は変わるからね、

埼玉県駅伝について

 

コース

【男子】= 42.195km

・1区(6.595km):さいたま新都心駅前~宮原小学校前

・2区(3.1km):宮原小学校前~上尾駅

・3区(12.1km):上尾駅前~鴻巣駅入口

・4区(3.9km):鴻巣駅入口~北鴻巣駅入口

・5区(10.5km):北鴻巣駅入口~熊谷女子高校前

・6区(6.0km):熊谷女子高校前~熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 

【女子】= 20.5km

・1区(4.0km):鴻巣駅東口付近エルミこうのす横~北鴻巣駅入口

・2区(3.7km):北鴻巣駅入口~吹上駅入口

・3区(1.4km):吹上駅入口~行田駅付近

・4区(5.4km):行田駅付近~熊谷女子高校前

・5区(6.0km):熊谷女子高校前~熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 

出発点・中継所点呼時刻

【男子】

・1区

受付・第一次点呼:大宮南中学校体育館 7:10~7:40

最終点呼:さいたま新都心駅コクーン 8:20

出発・通過予定:さいたま新都心駅前 8:30

 

・2区

受付・第一次点呼:宮原小学校体育館 8:00

最終点呼:宮原小学校 8:30

出発・通過予定:宮原小学校前 8:49

 

・3区

受付・第一次点呼:上尾小学校体育館 8:10

最終点呼:中継所脇歩道 8:40

出発・通過予定:上尾駅前 8:58

 

・4区

受付・第一次点呼:鴻巣東小学校体育館 8:40

最終点呼:中継所脇歩道 9:15

出発・通過予定:鴻巣駅入口 9:35

 

・5区

受付・第一次点呼:鴻巣市民センター 9:00

最終点呼:中継所脇歩道 9:30

出発・通過予定:北鴻巣駅入口 9:47

 

・6区

受付・第一次点呼:熊谷女子高校体育館 9:30

最終点呼:熊谷女子高校 10:00

出発・通過予定:熊谷女子高校前 10:20

 

【女子】

・1区

受付・第一次点呼:鴻巣東小学校体育館 8:20~8:40

最終点呼:鴻巣駅東口周辺歩道 9:20

出発・通過予定:鴻巣駅東口付近 9:30

 

・2区

受付・第一次点呼:鴻巣市民センター 8:55

最終点呼:中継所脇歩道 9:25

出発・通過予定:北鴻巣駅入口 9:43

 

・3区

受付・第一次点呼:鴻巣市高齢者福祉センター 9:05

最終点呼:中継所脇歩道 9:35

出発・通過予定:吹上駅入口 9:55

 

・4区

受付・第一次点呼:東京電力熊谷支社別館 9:10

最終点呼:中継所脇歩道 9:40

出発・通過予定:行田駅付近 10:00

 

・5区

受付・第一次点呼:熊谷女子高校体育館 9:30

最終点呼:熊谷女子高校 10:00

出発・通過予定:熊谷女子高校前 10:19

 

 

過去の結果(2015~2019年度)

男子(早大本庄

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女子(早大本庄

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奥むさし駅伝について

 

コース

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・1区(9.8km):東飯能駅東飯能駅西口)~東吾野駅東吾野駅入口)

・2区(5.4km):東吾野駅東吾野駅入口)~吾野駅(法光寺山門前)

・3区(4.3km):吾野駅(法光寺山門前)~西吾野駅西吾野駅入口)-折り返し

・4区(4.5km):西吾野駅西吾野駅入口)~吾野駅吾野中学校下

・5区(5.2km):吾野駅吾野中学校下)~東吾野駅東吾野駅入口)

・6区(9.3km):東吾野駅東吾野駅入口)~飯能市内銀座通り(きもの処かきぬま前)

 

〈各中継所の標高〉

スタート(105m)-第1中継所(130m)-第2中継所(173m)-第3中継所(225m)-第4中継所(190m) -第5中継所(130m)-フィニッシュ(105m)

 

過去の結果

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全国高校駅伝埼玉県予選会について

 

コース

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【男子】= 42.195km

・1区(10km):トラック449m-A-B-C-D-E-H-I-J-D-E-F-G-H-I-J-K

・2区(3km):A-3km折り返し-K

・3区(8.1075km):A-B-C-D-E-F-G-H-I-3区折り返し-I-J-K

・4区(8.0875km):A-B-C-D-E-F-G-H-I-4区折り返し-I-J-K

・5区(3km):A-3km折り返し-K

・6区(5km):A-B-C-D-J-I-5km折り返し-I-J-K

・7区(5km):A-B-C-D-J-I-5km折り返し-I-J-K

 

【女子】= 21.0975km

・1区(6km):トラック360m-A-B-C-D-E-H-I-J-K

・2区(4.0975km):A-B-C-D-J-2区折り返し-J-K

・3区(3km):A-3km折り返し-K

・4区(3km):A-3km折り返し-K

・5区(5km):A-B-C-D-J-I-5km折り返し-I-J-K

 

過去の結果

男子

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H30

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R1

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R2

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R3

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女子

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H30

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R1

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R2

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R3

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傾向

男子

 通過タイム

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2・5区通過順位と総合順位の相関

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女子

通過タイム

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過去の結果(男子①~⑩)

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所感(関東駅伝狙い想定)

・年によるけど、個人的感覚は上位3人がAve.15分一桁、上位5人がAve.15分20前半あればだいぶ固い。14分台が2人いれば15分一桁/15分30でも同程度。15分15/15分30だと、40%弱って印象。

・どちらかと言えば、上位3人条件の方が優先度は高い(3人で距離はおよそ62%、展開込みだと85~90%)。

・1区、3区、4区を早めに固定出来たら強い。よっぽど距離適性がない限り、特に3区、4区を1年生、は難しい印象。現状、8k~10kを視野に県新人に合わせるときの、テーパリング手順に改善の余地あり。

・5区終了時からボーダー前後の順位変動はほぼ0。決着は3区、4区あたりがほとんど。先手有利な展開が多い(後手にまわると不利)。後半区間で単独走が多くなると、持ちタイムの数字ほど差は縮まりにくい。

・関東を狙うにあたって最重要区間は3区と4区。1、2区は3区と4区がなるべく前の集団で走れるための繋ぎの区間。ただこれは、1区を最低限31分半前後で走れることが前提で、いない場合は1区から距離順に区間配置するのが基本。2区終了時に少なくとも6位ボーダーが追える範囲(30~60")にいることが条件。5区以降は大きくブレーキを踏んでその順位を落とさないことが最優先事項。6区、7区は基本単独走計算。Ave.16分でも十分。Ave.15分45前後でまとめられたら盤石。って感覚。

・3区と4区を1秒でも前でまわすために、5区より2区の方が大事(シンプルに速い方を置きたい)。単独走が得意不得意の損得より、なるべく3区と4区に前で渡すリターンが大きい。

・3区と4区の大事さの比較は微妙。比較する意味はない。2人とも自信があれば3区に速い方を。一発の爆発力に賭けるなら4区に速い方を。って感覚。4区の方が勝つも負けるもやや決定打になりやすい分、ん~、って感じ。

・最後もつれる可能性がある分、6区より7区の方が大事(スプリントがある方が良い)。

結果(2018~2021年度)

 

2018年度

4月

県北記録会

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県北総体

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平成国際大記録会記録会

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5月

県総体

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6月

日体大記録会

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7月

県北国体予選

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9月

さいたま市ナイター

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県北新人

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大東大ナイター

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県新人

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10月

関東新人

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11月

高校駅伝

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越谷カップ

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1月

奥むさし駅伝

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2月

県駅伝

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県北駅伝

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ふかやシティ

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2019年度

4月

県北記録会

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県北総体

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チャレンジミートゥinくまがや

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5月

県総体

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長・跳・投記録会

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6月

日体大記録会

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埼玉県選手権

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7月

県北国体予選

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8月

早大同記録会

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関東選手権

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9月

さいたま市ナイター

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県北新人

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大東大ナイター

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日体大記録会

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国士館大記録会

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県新人

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10月

東日本女子駅伝選考会

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平成国際大記録会

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全日本競歩高畠大会

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11月

高校駅伝

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蓮田市選手権

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平成国際大記録会

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1月

東京学芸大記録会

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2月

県駅伝

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県北駅伝

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U20選抜競歩大会

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2020年度

8月

県北総体

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日本インカレ標準記録突破挑戦記録会

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9月

県北新人

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県新人

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10月

クラブ対抗

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11月

高校駅伝

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2021年度

4月

県北記録会

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県北総体

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5月

県総体

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7月

県北国体予選

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8月

県国体予選

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9月

県北新人

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平成国際大記録会

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県新人

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10月

川口市長距離記録会

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クラブ対抗

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関東新人

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蓮田市選手権

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11月

高校駅伝

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日体大記録会

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東海大記録会

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12月

平成国際大記録会

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1月

Akabane10Kチャレンジ

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駅伝にまつわる諸問題について

 

1. 駅伝の競技特性

 駅伝で勝とうと思うとき、最適な方法は駅伝に出る選手の走力の合計値が最大にすることです。つまり、強豪校的な考え方をすると、1番大事なのは7人もしくは5人のタイムの合計が最も速くなることであって、最終的に誰が駅伝に出ようが大した問題ではありません。故に、10人爆発的に伸びるけど90人は怪我をする練習があるのであれば、それはチームが駅伝で勝つ目的において最適解だと言えます。一方で、選手層の薄いチームではそれが出来ません。しかし、1人でも多く速い選手を集めたチームが勝つという駅伝の競技特性がある以上、個人レベルにおいては、どうすれば個人のパフォーマンスを最大化させることが出来るのかを前提に練習していく必要があります。
 ただし、駅伝にはチーム力や作戦勝ちといった個人の走力和だけでは評価出来ない要因もあるものだと思います。この点、チーム戦略が大事であり、「各々が持っている能力を最大限に発揮し、かつ弱点の露呈を最小限に留めること」こそがチーム戦略のセオリーです。区間配置はそこに意味を持ちます。これはすなわち、どの選手がどの区間を走るのかを決める際には、「未確定の未来をどう捉えるか」が争点になってくることでもあります。
 区間配置を考えるにあたっては、選手の経験、得意不得意、ライバル校の状況など多くの基準があって、相互作用の中から合理的な根拠を持って最適解を導き出す必要があるでしょう。そのためには色眼鏡無しに正しく自分自身を評価する必要があることは言うまでもありません。迎合的な評価では失敗します。もちろん、駅伝の競技特性を無視した戦略は間違っています。遅い人たちがいくら集まって会議したところで遅いまま。あくまで駅伝に向かうプロセスにおいて、個人レベルでの成長がチームの成長の鍵であることは注意すべきです。

 

2. 中距離選手が駅伝に出場するケース

 中距離選手が県新人ないし関東新人などで中距離種目に向けて調整し、出場したのち、駅伝(概ね3km以上)に出場するケースが考えられます。その際、本来であれば、再び特異的な練習に取り組むためには一般的な練習に戻り、一旦、身体をニュートラルな状態にするために時間をかける必要があります。故に、これまで直近で取り組んできた内容と反対の練習にフォーカスする(スピード練習中心であれば、ゆっくりと有機的能力の土台が作るトレーニングで距離を踏む)ことが最良な方法です。しかしながら、短い中間では、ジャンクマイレージを増やし、トレーニングのボリュームを少しずつ増やしていくほど、時間的余裕はないことでしょう。そこで、レースのための練習を中心に、レースから一直線に逆算して、必要最低限の練習で結果を出していくイメージで取り組むのがベストだと思います。
 とりわけ、焦点になるであろうポイントは2点。

① 有酸素系能力
 「植物の成長は、必要とされる栄養分のうち最も少ないものにのみ影響される」とする「リービッヒの最小律」の考え方のように、競技力は得意な部分よりも苦手な部分の制約をより受ける傾向にあります(あるように感じています)。この点、中距離選手が3km以上のレースに出場する場合、有酸素系能力がボトルネックになっているケースが多いです。そこで、基本的には有酸素系の能力向上に直接働きかけることが1つの最適解のように思います。どの程度のペースでどれだけ走ればいいのかに関しては、答えはもちろん人によります。ただこの場合では、たとえ距離は短くてもこぎみよく、それなりに速いペースで走るのが良いと思います。そこそこ速いペースの持久走でトータルの有酸素刺激を確保していくと良いでしょう。ただし、リカバリージョグ等の場合は、目的に従ってゆっくり取り組むべきでしょう。

② 特異性
 トレーニングを行う目的は、目下の駅伝で、目標タイムで走ることであり、一から練習のための練習をしている時間はありません。すなわち、トレーニングは目標とする状態に持っていくために身体を慣れさせることが一番の目的となるでしょう。故に、トレーニングを通して、目標とするレースペースに慣れさせていくことが大切になってきます。そこで、タイムトライアル等、特異的なトレーニングをこなしていくことの比重が上がってきます。駅伝で走る距離及びペースに慣れていない場合は、特に有効でしょう。タイムトライアルといっても、レースの半分程度の距離を目標とするレースペースで走ることを指します。その他にも、1000m*3や2000m+1000mなど、多少のバリエーションを持たせつつ、レースペースに身体を適応させていくとともに、レースにおける出力配分の感覚を身に付けていくことが重要です。このとき、ただがむしゃらに走るのではなく、スーっと走れるようになることを意識できると良いです。

女性アスリートについて

 日本のスポーツ指導は、男性アスリートを育てる中で構築された方法論に基づいています。それがそのまま女性アスリートの指導に用いられているため、女性特有の生理現象を考慮しているとは言い難いのが実情です。その結果、月経異常や骨粗しょう症等の重大な健康被害を引き起こしてしまうケースも多いでしょう。「生理なんてない方が楽」と考える選手本人や指導者もいるかもしれませんが、それは大きな間違いで、女性アスリートが強くなる、能力を十分に発揮するためには「女性として健康な体」であることが欠かせません。強く、速く、また、美しくあるために必要な筋肉も骨も心肺機能も、女性の場合は女性ホルモンの影響を受けます。故に、女性の身体の特性を理解して女性アスリートのコンディションを調整し、競技力を高めていくことが重要なわけです。女性アスリートはあくまで女性なのであって、男性のミニチュアではないことを強く意識しなければなりません。

 

 

1. 心理的特徴

 以下、あくまで傾向にとどまる話であって、全員が全員すべて当てはまるというわけではないという点を強調します。

① モチベーションの高まり
男性アスリートは、試合で勝ったときに「もっと頑張ろう」「一生懸命練習しよう」というモチベーションが高くなりますが、女性アスリートはそれほど高くなりません。一方で、女性アスリートのモチベーションが上がるのは、指導者や両親、仲間等から励まされたり認められたりしたときです。誰だって勝てば嬉しいし、認められるとやる気が出ますが、その重さは男女で異なる傾向にあります。


② 競技力向上に対するモチベーション
男性アスリートはうまく動機づけ出来たら、バーッと突き進むイメージです。一方、女性アスリートは一緒に頑張っていくとか、この人に認められたいから頑張るという感情が強いのだろうと感じます。五輪や世界大会を見ていても、男性アスリートは優勝した時ガッツポーズをしますが、女性アスリートは指導者の元へと駆け寄る光景をよく見かけます。監督に認めてもらいたいという気持ちが原動力となって練習する傾向にあると言えるでしょう。なおのこと、女子選手の場合は信頼関係が破綻してしまうと練習になりません。


③ 練習への取り組み
男性アスリートはある程度メニューに自由度を与えるとレベルや目的に応じて自分で応用を始めますが、女子は余計な味付けはせずに忠実に再現しようとする傾向にあります。また、男性アスリートは自らでメニューをレベルに応じて勝手にステップアップさせていきますが、女性アスリートは「今はこういう練習(指示)だから」と指示なしに応用していこうとはしない傾向にあります。

 

④ 指導者との繋がり
男性アスリートは詳細に指示し、忠実に再現させようとしすぎると窮屈がるので、ある程度自由度を与える必要があります。一方、女性アスリートは男性アスリートのように自由度を与えすぎると、めちゃくちゃになってしまうことも多く、難しいでしょう。コーチ受容性(指導者の言葉を素直に受け入れる傾向)の高さは女性アスリートの特徴の1つと言えます。厳しい言葉で叱りつけた際、男性アスリートは聞き流せても、女性アスリートは激しく落ち込むことも多くあります。また、「自分が失敗して負けたらどうしよう」「怪我をしそうで怖い」という恐怖心や不安感も、女性アスリートの方が強く感じる傾向にあります。

 男性(女性)指導者が女性アスリートの練習や試合の結果に対して、「今日はここがだめだった」、「もっとこうしたほうがいいぞ」等と、ダメ出しや勝手な持論を、だらだらと展開している姿をよく見かけます。もちろん、このようなコーチングが必要な時もあるでしょう。しかしながら、元来、女性は男性に比べて自己評価が厳しく、自分自身を低く見積もる傾向が強いことからも、女性アスリートに対しては、いつも良かったところを伝え、今日のパフォーマンスないし毎日の努力を認めてあげることが必要でしょう。

 

2. 身体的特徴

 言うまでもありませんが、男性と女性は平等ですし、優劣はありませんが、生物として男女を見たとき、それぞれ異なった特徴をもっていることは事実です。男女の違いが顕著になるのは、大体14歳以降と言われています。12歳くらいまでは、身長や体重に性差はほとんど見られませんが、思春期になると男子の方が身長も伸び、体重も増え、体型もがっちりしてきます。女子は胸が膨らみ、丸みを帯びた体つきになって、月経(生理)が始まります。
 中でもアスリートとして知っておくべき男女の違いは、①筋肉量(女性の筋肉量は男性より少ないこと)、②脂肪量(女性の脂肪量は男性より多いこと)、③妊娠・出産(女性は月経があり、妊娠・出産できること)です。これらに影響を及ぼしているのが女性ホルモンです。思春期から閉経期までの女性は、骨や筋肉、内臓にまでも女性ホルモンの影響を受けています。男性と女性では、なりやすい病気も、よくある怪我も、平均寿命さえも違います。それらは女性ホルモンの影響を受けている結果なのです。
 男性ホルモンは、筋肉をつけたり、脂肪を燃焼してエネルギーに変えたりする効率が非常に高いのが特徴です。男性ホルモンの分泌は10代前半から活発になり、20~30歳でピークを迎えます。この時期の男性アスリートは、どれだけ食べても体重は減っていきます(代謝が活発)。しかし、女性ホルモンはその反対に、脂肪を同化して蓄積する作用が強く、エネルギーが蓄えやすいのが特徴です。女性ホルモンは、7歳頃から徐々に分泌し、初経を迎えると分泌量が増え、20代後半から30代にピークを迎えます。つまり、女性がアスリートとして頭角を表す10代後半から全盛期を迎える20代中盤あたりは最も女性ホルモンの分泌が多いため、脂肪がつきやすく、エネルギーを蓄えやすい時期と重なるわけです。特にジュニア期からシニア期に移行する17~19歳頃は、「練習を積んでいるのに全然体重が落ちない」、「食事に気を付けているのに体脂肪率が変わらない」と悩む女性アスリートが非常に多いですが、それはある意味、正常な生体反応であり、仕方ないことなのです。(20歳を過ぎる頃には女性ホルモンに身体が適応し、体重や体脂肪率は自然に落ちていきます。)
 しかしこの時期に、「痩せろ」や「太ってきたな」などなど、コーチから厳しい言葉を浴びせられ、落ち込んだ経験をもつ女性アスリートは多いものです。このような理不尽な仕打ちをされた女性アスリートらは、これまで出来てきたことが出来なくなったのはすべて体重増加が原因だと思い込み、ジュニア期の体重に戻そうと無理をしてしまいます。そのうち、元に戻るはずのない体重ばかりに気を取られ、勝つために練習しているのか、瘦せるために練習しているのかわからなくなり、目標を見失ってしまうことにもなりかねません。

 

3. 女性アスリート特有の健康障害

 1992年にアメリカスポーツ医学会は、①摂食障害、②無月経、③骨粗しょう症の3つの障害を、女性アスリートの三主徴(Female Athlete Triad:FAT)と定義しました。しかしながらその後、摂食障害に関係なく適切にエネルギーが確保されなければ、正常な月経や骨の健康に悪影響を及ぼす考え方から、2007年に定義が見直されました。摂食障害は除外され、①利用可能エネルギー不足(低エナジーアベイラビリティ)、②視床下部無月経、③骨粗しょう症の3つに変更されました。


① 利用可能エネルギー不足(低エナジーアベイラビリティ
 利用可能エネルギー不足の初期症状は貧血です。疲労が抜けない、息が切れる、力が出る等の貧血の徴候がみられる場合には、直ちに病院へ行き血液検査をしましょう。女性アスリートの場合は、前回の月経からそれほど日数の経たないうちにまた月経が起こる「頻発月経」や、月経の際の経血量が多くなる「過多月経」等の月経異常がある場合にも貧血に陥りやすいので注意が必要です。また、筋肉増加の際に鉄の需要が高まることに起因する貧血も見逃しやすいでしょう。

視床下部無月経
 月経は、視床下部、脳下垂体、卵巣、子宮の4つが正常に機能することで起こる。この点、視床下部無月経は、視床下部のトラブルによって無月経になる場合を指す。すなわち、その他を原因とする無月経は、アスリートの利用可能エネルギー不足とは関係がないです。アスリートの無月経のおよそ85%は視床下部無月経と言われていますが、すべての無月経視床下部にあるわけではなく、どの臓器のトラブルが原因であるのかは病院で検査しない限りかわからないため、原因をきちんと調べる必要があります。

骨粗しょう症
 人間の骨は、古い骨を壊す「吸収」と新しい骨を作る「形成」を繰り返しています。これを骨代謝と言うわけですが、この骨代謝のバランスが上手く回っていれば強い骨になり、吸収ばかり、あるいは形成ばかりが生じると骨密度は高まりません。ここで骨の吸収を抑制しているのが、女性ホルモンの「エストロゲン」です。ところが、利用可能エネルギー不足によって視床下部無月経になった女性アスリートは、骨を守ってくれるエストロゲンの分泌が著しく減少してしまい、骨の吸収が過剰に進むことで低骨密度による疲労骨折等が増えてしまうわけです。
 女性アスリートは無月経が当たり前というのは非科学的で危険な考え方です。無月経がわかった時点で、すぐに病院でその原因を明らかにし、なんらかの手立てを講じる。それが女性アスリートの大きな怪我や骨密度低下予防につながることを覚えておかなければなりません。

 

4. 女性アスリートのコーチン

 女性アスリートのコーチングは管理することであると言われていた時代もありました。しかしながら、コーチは管理者ではありません。コーチングとは、女性アスリートを支配し、管理することではありません。コーチの言う通りにやれば強くなると言って、選手の声に耳を傾けず、何も教えず、考えさせず、ただがむしゃらに練習をさせるコーチングでは、たとえ試合に勝ったとしても、ウェルビーイング(良好で幸福な状態)は得られません。
 女性アスリートのコーチングとは、女性アスリート特有の課題(身体生理的、心理社会的、組織環境的)に対して十分に配慮し、女性アスリートに寄り添い、考える時間を十分に与えることにあると言えます。そうすることで、自立した女性アスリートへと成長し、心身ともに健康で、長期的に高い競技力を継続することが可能となるでしょう。
 指導者は女性アスリート自身が些細な自らの変化に気づけるように導かなくてはならないわけです。そのために、指導者はいつも聞く習慣を持つべきでしょう。「調子はどうか」、「今どんな感じだったか」、「どう思うか」等、様々な問いかけから、女性アスリートは自分自身に目を向け、客観的に自らを評価する能力を身に付けられることでしょう。女性アスリート自身の気づきこそ、競技力向上を阻む障害に対する最大の防御策になり得ます。

コーチングについて

 

1. コーチの役割

 指導者の役割は、対象を理解してその子の最適解を見つける作業を一緒にしていくことです。すなわち、各々が考える理想に近づけるよう背中を押す指導をすること。学生スポーツという枠組みの中で、そうした理想に向けて自分の意思で色んなことにチャレンジできる環境を整備することが大きな役割です。コーチは思考しプランニング、そして指導する人。選手はそれを信じて実行する人。ハンドルはすべてコーチが握り、選手は労働のように実行する。この伝統的な相互互恵関係に疑問を持ち、変えていくことが必要でしょう。
 指導者で注意しなければならいけないのは、自身の成功体験がすべての選手に当てはまるという勘違いを生むことです。自らの競技経験のみを手本として、それを選手にあてがう指導者は多いです。そして、自らの経験のみを頼りに自分のコピーを作ろうとしてたいてい失敗します。指導者が成功体験を追求すると組織が強くなるのは、同じタイプだった選手がチームで生き残るだけで、合わなくて潰れる選手も同じぐらいいることを忘れてはいけません。
 選手の力量を計りアドバイスをするのが正しい指導者と言えます。コーチングで大事なのは、誰が(who)、どのタイミング(when)で、何を(what)、どのように(how)、なぜ(why)伝えるかを自分の中で明確にすることです。どんなに正しいことを言っていても、これらを誤ると伝わらないことが多いので注意しましょう。
 とりわけ、初心者を相手にするコーチは、競技スポーツを通じた知的楽しさを、スタート段階から体験させてあげることが大切です。もっとも、スポーツは「遊び」の一形態だと言われています。遊びの成立要件は「自発的」で「楽しい(面白い)」になりますが、英語ではfun とenjoy という言葉に使い分けられています。fun は気晴らしというニュアンスが含まれていて、いわゆる、勝ち負け関係なく休み時間にやるサッカーが楽しいのと同様。一方、enjoy は fun よりも時間軸が長いイメージがあり、努力したり、工夫したりする中で得られる喜びを目指すニュアンスが含まれていて、いわゆる、部活動でやるサッカーの楽しさと言えるでしょう。このfun とenjoy の両方の楽しさが競技スポーツには包含されています。この点、競技スポーツの喜びの観点から。競技スポーツの喜びは主に3点あると言われています。①ライバルや昨日までの自分を超えることが出来たときに得られる「卓越の喜び」、②個人やチームの目標を達成することが出来たときに得られる「達成の喜び」、③自らの身体を使って試行錯誤しながら卓越や達成を追い求めていくことで得られる「身体の喜び」です。選手らにこれらの喜びを感じさせることが出来るか否かが、スポーツの持つ本質的な楽しさを伝えるかのバロメーターになるでしょう。また、もう1つのキーワードとして挙げられるのは、内発的動機づけに大きく影響すると言われている運動有能感です。運動有能感とは、①「身体的有能さの認知」と呼ばれる自身の運動能力や技能に対する自信、②「統制感」と呼ばれる努力をすればできるようになるという自信、③「受容感」と呼ばれる仲間から受け入れられている自信、という3因子から構成される有能感と定義づけられています。頭の片隅に置いておきながら、適宜、選手らに感じさせることができる工夫ができると尚良いでしょう。
 コーチングにあたっては、一般的に自由を与えた方が良いと言われています。ただ、オールフリーの中で自立した選手の育成を、といってもたかが知れています(現時点ではそのように感じています)。指導者は枠を設けてその枠の中で選手は自由に選択するという形が最もしっくりくるように思います。案外、制限があった方が考えることが少なくて楽だという選手も多いです。自由度の大きい指導者に自由度が小さい方が向いている選手がついた場合は何も教えてくれなかったと不満を抱きがちですし、自由度が小さい指導者に大きい方が向いている選手がついた場合にはがんじがらめだったと不満を抱きがちです。自由の範囲をどの程度設けるのか、丁度良い加減が大切です。

 

2. 学生コーチの場合

 学生コーチとして部活動に携わる場合、どういった立ち位置からどのように振舞うかは人によって、あるいは状況によって異なります。自ら高いモチベーションで競技に取り組んだり、練習を積極的に引っ張ったりすることで、チームの上限を引き上げる役割を担っても良いですし、マネージャーに近いポジションで環境整備ないしサポートに重きをおいても良いです(ありがたいことに)。これらは自らが学生で年が近いことや、本学のOB(・OG)であることの利点を活かしている形と言えるでしょう。
 生徒らへのサポートの在り方については、ソーシャル・サポート(社会的支援)が参考になります。ソーシャル・サポート(社会的支援)は主に4つに分類されます。


① 情緒的サポート:共感的な対応を通して感情に寄り添うサポート。
Ex) 傾聴する、励ます、慰める、うなずく、笑顔で対応する、見守る など
② 情報的サポート:間接的な支援。問題解決に有効な情報を与えるサポート。
Ex) 助言する、知識を提供する、アドバイスする など
③ 道具的サポート:直接的な支援。問題解決に向けて自ら手を動かして手伝うサポート。
Ex) タイムを計る、動画を撮る、練習を引っ張る など
④ 評価的サポート:仕事や努力を適切に評価するサポート。
Ex) 褒める、努力を評価する、仕事をフィードバックする など

 これらを上手く組み合わせながら生徒らへのサポートに努めることが、信頼関係ないし良好な人間関係の構築に繋がることでしょう。とはいえ、学生コーチの役割の範囲には限界があります。ただ、自分の役割の限界を知ることでかえって自分の役割が明確になり、しっかり自分の役割を果たそうと思えるのではと思います。