メモ

以下、なんとなく考えたこと・感じたことをなるべく整理した形で文字に起こして視覚化しました。ツッコミどころ満載かと思いますので、出来たら香りだけ感じてもらって、参考程度にお願いします。それっぽく書いてあっても、今はまるっきり意見が変わってるなんてことがよくあります。人は変わるからね、

コーチングについて

 

1. コーチの役割

 指導者の役割は、対象を理解してその子の最適解を見つける作業を一緒にしていくことです。すなわち、各々が考える理想に近づけるよう背中を押す指導をすること。学生スポーツという枠組みの中で、そうした理想に向けて自分の意思で色んなことにチャレンジできる環境を整備することが大きな役割です。コーチは思考しプランニング、そして指導する人。選手はそれを信じて実行する人。ハンドルはすべてコーチが握り、選手は労働のように実行する。この伝統的な相互互恵関係に疑問を持ち、変えていくことが必要でしょう。
 指導者で注意しなければならいけないのは、自身の成功体験がすべての選手に当てはまるという勘違いを生むことです。自らの競技経験のみを手本として、それを選手にあてがう指導者は多いです。そして、自らの経験のみを頼りに自分のコピーを作ろうとしてたいてい失敗します。指導者が成功体験を追求すると組織が強くなるのは、同じタイプだった選手がチームで生き残るだけで、合わなくて潰れる選手も同じぐらいいることを忘れてはいけません。
 選手の力量を計りアドバイスをするのが正しい指導者と言えます。コーチングで大事なのは、誰が(who)、どのタイミング(when)で、何を(what)、どのように(how)、なぜ(why)伝えるかを自分の中で明確にすることです。どんなに正しいことを言っていても、これらを誤ると伝わらないことが多いので注意しましょう。
 とりわけ、初心者を相手にするコーチは、競技スポーツを通じた知的楽しさを、スタート段階から体験させてあげることが大切です。もっとも、スポーツは「遊び」の一形態だと言われています。遊びの成立要件は「自発的」で「楽しい(面白い)」になりますが、英語ではfun とenjoy という言葉に使い分けられています。fun は気晴らしというニュアンスが含まれていて、いわゆる、勝ち負け関係なく休み時間にやるサッカーが楽しいのと同様。一方、enjoy は fun よりも時間軸が長いイメージがあり、努力したり、工夫したりする中で得られる喜びを目指すニュアンスが含まれていて、いわゆる、部活動でやるサッカーの楽しさと言えるでしょう。このfun とenjoy の両方の楽しさが競技スポーツには包含されています。この点、競技スポーツの喜びの観点から。競技スポーツの喜びは主に3点あると言われています。①ライバルや昨日までの自分を超えることが出来たときに得られる「卓越の喜び」、②個人やチームの目標を達成することが出来たときに得られる「達成の喜び」、③自らの身体を使って試行錯誤しながら卓越や達成を追い求めていくことで得られる「身体の喜び」です。選手らにこれらの喜びを感じさせることが出来るか否かが、スポーツの持つ本質的な楽しさを伝えるかのバロメーターになるでしょう。また、もう1つのキーワードとして挙げられるのは、内発的動機づけに大きく影響すると言われている運動有能感です。運動有能感とは、①「身体的有能さの認知」と呼ばれる自身の運動能力や技能に対する自信、②「統制感」と呼ばれる努力をすればできるようになるという自信、③「受容感」と呼ばれる仲間から受け入れられている自信、という3因子から構成される有能感と定義づけられています。頭の片隅に置いておきながら、適宜、選手らに感じさせることができる工夫ができると尚良いでしょう。
 コーチングにあたっては、一般的に自由を与えた方が良いと言われています。ただ、オールフリーの中で自立した選手の育成を、といってもたかが知れています(現時点ではそのように感じています)。指導者は枠を設けてその枠の中で選手は自由に選択するという形が最もしっくりくるように思います。案外、制限があった方が考えることが少なくて楽だという選手も多いです。自由度の大きい指導者に自由度が小さい方が向いている選手がついた場合は何も教えてくれなかったと不満を抱きがちですし、自由度が小さい指導者に大きい方が向いている選手がついた場合にはがんじがらめだったと不満を抱きがちです。自由の範囲をどの程度設けるのか、丁度良い加減が大切です。

 

2. 学生コーチの場合

 学生コーチとして部活動に携わる場合、どういった立ち位置からどのように振舞うかは人によって、あるいは状況によって異なります。自ら高いモチベーションで競技に取り組んだり、練習を積極的に引っ張ったりすることで、チームの上限を引き上げる役割を担っても良いですし、マネージャーに近いポジションで環境整備ないしサポートに重きをおいても良いです(ありがたいことに)。これらは自らが学生で年が近いことや、本学のOB(・OG)であることの利点を活かしている形と言えるでしょう。
 生徒らへのサポートの在り方については、ソーシャル・サポート(社会的支援)が参考になります。ソーシャル・サポート(社会的支援)は主に4つに分類されます。


① 情緒的サポート:共感的な対応を通して感情に寄り添うサポート。
Ex) 傾聴する、励ます、慰める、うなずく、笑顔で対応する、見守る など
② 情報的サポート:間接的な支援。問題解決に有効な情報を与えるサポート。
Ex) 助言する、知識を提供する、アドバイスする など
③ 道具的サポート:直接的な支援。問題解決に向けて自ら手を動かして手伝うサポート。
Ex) タイムを計る、動画を撮る、練習を引っ張る など
④ 評価的サポート:仕事や努力を適切に評価するサポート。
Ex) 褒める、努力を評価する、仕事をフィードバックする など

 これらを上手く組み合わせながら生徒らへのサポートに努めることが、信頼関係ないし良好な人間関係の構築に繋がることでしょう。とはいえ、学生コーチの役割の範囲には限界があります。ただ、自分の役割の限界を知ることでかえって自分の役割が明確になり、しっかり自分の役割を果たそうと思えるのではと思います。