メモ

以下、なんとなく考えたこと・感じたことをなるべく整理した形で文字に起こして視覚化しました。ツッコミどころ満載かと思いますので、出来たら香りだけ感じてもらって、参考程度にお願いします。それっぽく書いてあっても、今はまるっきり意見が変わってるなんてことがよくあります。人は変わるからね、

ペース走について

 

ペース走(理論編)

1.ダニエルズによる分類【閾値ランニング(Tランニング)】

 TはThresholdの略(LT:Lactate Thresholdと同義)で、VO2maxの約86~88%、HRmaxの約88%~90%程度を指します。1回あたりの練習量の上限は20分、または5~20分。また、1回の練習あたりの上限は週間走行距離の10%です。Tランニングの目的としては、「血中の乳酸を除去し十分処理できる濃度に抑える能力を高めること」(持久力を向上させるため)が挙げられます。すなわち、ある程度の時間、少しだけ速めのペースで持ちこたえることを身体に覚えさせる、あるいは一定ペースを維持できる時間を伸ばすことに注力します。

 

2.ペース走の目的

① LTより遅いペース
 Jogに近い形でのランニングになります。Jogとの違いはこちらの方がペースの速いためにより効果的に持久力を養成できる反面、疲労も残りやすく、間の日の練習にはあまり適しません。レース明けのポイント練習の代わりに導入、また、故障や体調不良明けの場合につきJogからポイント練習への橋渡しとして用いることが一般的です。

 

② LT付近のペース
速筋が多く動員されることで速筋中のミトコンドリアの量が増加して有酸素系能力が養成されます。糖が分解されて乳酸が多く生成されますが、乳酸は酸化することでもう一段階エネルギーを取り出すことができるわけです。酸素を使って乳酸からエネルギーを使用する能力の他に、エネルギー源の糖を利用する能力、乳酸濃度が高い状態に耐えられる能力も養成されると考えられます。

 

ペース走(実践編)

1.テンポ走

 ペース走のすべてをLTペースで行うトレーニングです。およそ20分間続ける持続的なランニングになります。テンポ走においては、「テンポ」の解釈の違いが混乱を招くことがあります。この点、ダニエルズは、比較的楽なペースからLTペースにビルドアップしたとしても、テンポ走と言えるのはLTペースの部分のみであると指摘しています。

〈実践例〉

・6000m [LT]:LTで6000m
・20分間走:LTで20分間走
・4000m+2000m [LT+5kmRP/r7~10’]:LTで4000m, r7~10分, 5kmRPで2000m

 

2.クルーズインターバル

 持続時間が比較的短いLTペースでのランニングを、短い休息を挟みながら何回か行うトレーニングです。LTペースで3-15分間の疾走を3-10本、休息は15%-25%が一般的です。疾走時間と休息時間の推奨比は5:1あたりになります。適正な閾値強度の運動刺激をテンポ走より長い時間、身体に与えることができる点で効果的です。

〈実践例〉

・400m*20 [LT/r30”]:LTで400m*20set(リカバリー30秒 or 100mJog)
・1000m*8-10 [LT/r60”]:LTで1000m*8-10set(リカバリー1分 or 200mJog)
・1600m*4 [LT/r60”]:LTで1600m*4set(リカバリー1分)
・3200m*2 [LT/r120”]:LTで3200m*2set(リカバリー2分)

 

3.変化走

 変化走と呼ばれる練習に共通する特徴としては、「それなりのペースで走りながら回復する必要がある」ことが挙げられます。通常のインターバル走では、間をJogでつなぐため、かなり回復し、疾走区間でしっかりスピードを出すことが出来ます。一方で実際のレースでは、ペースを落として回復することはなかなかできないでしょう。そこで、速いペースで走る中で蓄積していく乳酸を、速いペースでも活用できる体を作る必要があるわけです。もちろん、一般的なLTペース走を積み重ねていくことが、そのような乳酸活用能力を引き上げるために最も一般的かつ効果的な方法であると考えられます。しかし、同じ刺激を与え続けると、適応によって練習効果が得られにくくなってしまうことが予想されます。例えば、毎週8kmペース走を繰り返していると、「レースに必要な能力が伸びる適応」以上に、「8kmペース走を効率よくこなす適応」が生じてしまうことがあります。その結果、8kmペース走のタイムは上がるのにレースのタイムはあまり伸びない、ということも起こりかねません。そこで、速いペースで走った後につなぎをそこそこのペースで回復させる変化走を通して、乳酸を出し、またそれを再利用する乳酸サイクルのシステムを強化させるという意図があります。また、同じ練習をずっと続けるとマンネリ化してしまうという問題もあるでしょう。モチベーションを高く保ちながら継続していくためには、練習メニューにもある程度バリエーションがあると良いです。この点、多様なバリエーションが考え得る変化走は有効であると言えます。
 トラック練習の場合は総距離を気持ち少なめに、緩める部分をやや遅く、きつい部分より激しく行って負荷をかけるのが適しているように思います。

〈実践例〉

LT付近の速度帯をベースにする変化走
・(400m+1200m)*5 [5-10kmRP+(LT+10-20s)]:400mの急走1200mの緩走の組み合わせ*5set
・(600-800m+600-800m)*5 [5-10kmRP+(LT+10-20s)]:600-800mの急走と600-800mの緩走の組み合わせ*5set
・(800m+800m)*5 [(LT+10s)+(LT-10s)]:LTを基準に10秒ずつの上げ下げ*5set
・(1600m+400m)*3-4 [(LT or +5-10s)+5-10kmRP]:LT付近のペース走(6-8km)の中で、1600mごとに5-10kmRP付近のペースで400mの流し

 

3-5kmRP付近の速度帯をベースにする変化走
・(400m+200m)*5 [(5kmRP-(5-10s/km))+(5kmRP+(5-10s/km))]:5kmRPより400mあたり2-4秒速い400mの急走と5kmRPより200mあたり1-2秒遅い200mの緩走の組み合わせ
Ex) 3000m:9’00”。=72s/400m *1*5
・(200m+200m)*7.5 [(3kmRP-(20s/km))+(3kmRP+(20-30s/km))]:3kmRPより200mあたり4秒速い200mの急走と3kmRPより200mあたり4-6秒遅い緩走の組み合わせ
Ex) 3000m:9’00”。=36”/200m (32”+(40”-42”))*7.5

 

4.ファルトレク

 ファルトレクというのは、語源はスカンジナビアの言葉で、ファルトとレクの二つの言葉から成り立ちます。ファルトは速度、レクはレクリエーションのレクのことだそうで、スウェーデンの方では子供がペースを上げたり下げたりする遊びがあるそうです。そんなわけで、ペースを上げたり下げたりするのがファルトレクという練習です。気の向くままにペースを上げたり、下げたりというのももちろんファルトレクの一種なのですが、通常はもう少しシステマチックに取り入れます。
 ファルトレクを取り入れるメリットとしては、主に3つ。①自分の感覚に従って走ることができる点、②不整地や起伏のあるコースでも、距離がわからないコースでも取り組むことができる点、③タイムが悪くても落ち込まなくて済む点があります。
 ファルトレクを取り入れるおすすめのタイミングは、①シーズンの序盤や故障明けでまだ体が仕上がっていないケース。練習で大切なのは、タイムではなく目的とするトレーニング刺激を体に与えることです。この観点からすると、体が仕上がっていない時点ではペースは遅くても良い練習になります。そして、何よりも、リラックスして速く走る動きを体に覚えさせることが大切です。また、まだ身体が出来上がっていない時点は、故障のリスクも高く、徐々に戻していくことが大切です。この時、不整地や起伏のあるコースでの練習は、脚筋力を戻すことにも繋がる他、故障のリスクを抑えることも出来るでしょう。距離が分からなくてもタイマーさえあればどこでもできます。
また、②想定以上に身体が疲れていると感じる、もしくは、風が強くて萎えるケースです。練習は継続が大切で、線で繋がっていれば問題ありません。むしろ一回一回のタイムは良いけど点と点でぶつ切りになっているよりもはるかに良いでしょう。そうであれば、今日は自分が思うような速さでは走れないと思ったとき、感覚に従ってオフロードでファルトレクに取り組むのも賢い選択の1つと言えそうです。
 ちなみに、逆にファルトレクが適さないタイミングとしては、レース直前が挙げられます。自らの体調を正確に知るためにも、レースの6週間前くらいからは、インターバルや変化走を好んで使っていきましょう。レースの6週間前ともなると、すでに基礎トレーニングをたくさん積んで、身体がある程度仕上がっている状態でしょう。このタイミングで1km3秒程度の遅いとなると黄色信号です。5秒以上遅いとなると赤信号です。早急に練習を軽くしないといけません。あくまでもタイムに無理やり合わせにいくのではなく、自分なりの感覚で走り、タイムとのズレを見て体調を判断していきます。この段階では、あまり適さないと言えそうです。

〈実践例〉

ケニア式ファルトレク
・(60”/60”)*20-25:60秒fast-60秒slow*20-25set
・(120”/60”)*10-15:2分fast-1分slow*10-15set
・(180”/90”)*10-12:3分fast-1分半slow*10-12set
・(30”/60”)*5+(45”/60”)*5+(60”/60”)*10+(45”/45”)*5+(30”/30”)*5 :(30秒fast-60秒slow*5set)+(45秒fast-60秒slow*5set)+(60秒fast-60秒slow*10set)+(45秒fast-45秒slow*5set)+(30秒fast-30秒slow*5set)
 とりわけ、1分以上持続するファルトレクは、10kmレースペース走に近い負荷になる事が多く、基礎期間のスピード練習としても有効。

 

オーストリア式ファルトレク
・(90”/90”)*2+(60”/60”)*4+(30”/30”)*4+(15”/15”)*4:(90秒fast-90秒slow*2set)+(60秒fast-60秒slow*4set)+(30秒fast-30秒slow*4set)+(15秒fast-15秒slow*4set)

 

ラダー式ファルトレク
・(60”-120”-180”-240”-180”-120”-60”/60”):(1分-2分-3分-4分-3分-2分-1分)fast―60秒slow

 

ピュアファルトレク
 距離走の中で、目印を目指して気ままにスプリント走を入れる。
Ex)急走と緩走を電柱ごとに切り替える等

*1:68”-70”)+(37”-38”