メモ

以下、なんとなく考えたこと・感じたことをなるべく整理した形で文字に起こして視覚化しました。ツッコミどころ満載かと思いますので、出来たら香りだけ感じてもらって、参考程度にお願いします。それっぽく書いてあっても、今はまるっきり意見が変わってるなんてことがよくあります。人は変わるからね、

レペティションについて

 

レペティション(理論編)

1. ダニエルズによる分類【レペティショントレーニング(Rトレーニング)】

 RはRepetitionの略で、VO2maxの約105%~120%程度を指します。1回の練習量の上限は2分です。また、1回の練習あたりの上限は8km、あるいは週間走行距離の5%のどちらか短い方です。Rトレーニングの目的としては、「無酸素作業能向上」、「ランニングの経済性を高めること」、「スピードの向上」等が挙げられます。疾走時間と休息時間の推奨比は、1:2から1:3。最も意識すべきことは十分に体を回復させ、正しい走動作で速く走ることにあります。

 

2. レペティションの目的

 無酸素状態に近い運動を、休みを入れながら反復していきます。休みを入れなければエネルギー供給が追いつかず有酸素系がメインになりますが、無酸素系である程度エネルギー供給が追いつく時間しか連続しない運動を繰り返すことで無酸素系の持久力を養成します。有酸素系も動員されますが、短時間に大量の酸素を必要とする運動を行いますので、最大酸素摂取量の養成が主な目的となると考えられます。その他、神経系ないしランニングエコノミーの向上も見込めます。

 

3. インターバルとレペティションの違い

 結論、インターバルとレペティションに厳密な違いはありません。というより指導者によって異なります。一般的に、インターバルはある程度回復しない状態でつなぐもの、レペティションは疾走と疾走の間を完全休息でつなぐものと認識されますが、厳密に言えば完全休息というのはあり得ないわけです。例えば、ある指導者は200m*20 (リカバリー200mJog)はインターバルと、1000m*5 (リカバリー5分間完全休息)はレペティションと言うでしょう。では果たして、1600m*5 (リカバリー3分完全休息)はインターバルなのか、レペティションなのか。これはたとえ、完全休息を挟んでいるからといえ、インターバルだと言う人が多いと思います。でも中にはレペティションだという人もいるかもしれません。インターバルかレペティションかという区別の仕方はそのくらい曖昧だということです。指導者によって用語の使い方がやや違うとしか書けないので、レペティションという言葉が出てきた時には、その指導者がどういう意味で言っているのかを文脈から判断していくしかありません。

 

レペティション(実践編)

1. 短めのレペティションの組み合わせ

〈実践例〉

・150m*5-6*3 [800mRP/r50mWalk R12-15’]:800mRPで150m*5-6本(リカバリー50mWalk)*3set(リカバリー12-15分)
・(300m+250m+200m)*2 [free/r5-7’ R15-20’]:(freeで300m, r5-7分, freeで250m, r5-7分, freeで200m)*2(リカバリー15-20’)
・300m*5 [free/r300mWalk]:freeで300m*5本(リカバリー300mWalk)
・40”走*8-10 [free/r5-10’]:freeで40秒走*8-10本(リカバリー5-10分)
・400m*10 [3kmRP/r400mJog]:3kmRPで400m*10本(リカバリー400mJog)
・60”走*8-10 [free/r5-10’]:freeで60秒走*8-10本(リカバリー5-10分)
・500-800m*6-8 [1500mRP/r5-7’]:1500mRPで500-800m*6-8(リカバリー5-7分)

 

2.長めのレペティションの組み合わせ

〈実践例〉

・(1000m+300m)*2-3 [1500mRP+free/r30-40” R12-15’]:(1500mRPで1000m, r30-40秒, freeで300m)*2-3set(リカバリー12-15分)
・(400m+1200-1600m)*2-3 [1500mRP+3-5kmRP/r200mJog R12-15’]:(1500mRPで400m, r200mJog, 3-5kmRPで1200-1600m)*2-3set(リカバリー12-15分)
・2000-3000m+1000m [5kmRP+1500m-3kmRP/r10-12’]:5kmRPで2000-3000m, r10-12分, 1500m-3kmRPで1000m
・3000m+2000m+1000m [5kmRP/r12-15’, 7-10’]:5kmRPで3000m, r12-15分, 5kmRPで2000m, r7-10分, 5kmRPで1000m
・4000m*2 [10kmRP/r10-12’]:10kmRPで4000m*2set(リカバリー10-12分)

 

3. スプリントトレーニン

 真にスピードをつけるためには、無酸素的なレペティションではなく、スプリントトレーニングが重要です。良いフォームを身に付けるのに欠かせないものでしょう。厳密にはレペティションではないと思いますが、なんともくくれないのでここにきています。スプリントトレーニングではほぼ全力スピードで走るものの、距離が非常に短く、また十分に回復時間をとって行うため疲労が蓄積しにくく、インターバルトレーニングのように何日も回復期間が必要となるトレーニングとは異なります。ハードなトレーニングの前後に行っても問題無く、ロングJogで脚が重くなった翌日や、レース前日の刺激入れとしても有効です。ただし、慣れないうちは筋肉を傷めるきっかけになったり、疲れた感じが残ったりするので、急なやりすぎには注意しましょう。

〈実践例〉

・100m*10 [free/free(目安3-5’)]:100m*10本
基礎的なスピード養成。できるだけ速く、かつリラックスして走ることを意識。間は十分に空けて、呼吸を整えて行う。
・150m*5-7 [free/free(目安3-5’)]:150m*5-7本
100mより少しレベルアップした形。50m毎にマークを置き、最初の50mは流し、次の50mを800-1500mRP、最後の50mで全力と、スパートの切り替えを意識できると尚良し。間は十分に空けて、呼吸を整えて行う。
・流し。速筋線維に刺激を入れたい。どこかしらで最大努力や最大速度に達して残りを流す感覚。最初から最後まで流さずに、スプリントの意識が必要。

 

4. ウィンゲート式インターバルトレーニング

 そもそもウィンゲート式というのは、「Wingate Institute」にて開発されたウィンゲートテスト(エルゴメータで30秒間最大出力や出力の傾きを計測し、運動適応能力を測定するパフォーマンステスト)に由来します。ざっくり要約すると、30”*4-6(r3-4’)でトレーニングを行うグループと65%VO₂maxの強度で90-120分トレーニングを行うグループに分け、2週間で6セット行わせたところ、ほぼ同様の効果があったことから、時間が十分に確保できないとき等に有効だと考えられる、といった内容です。ミトコンドリアの増加がみられたということで、速筋の動員によるミトコンドリアの増加においては、なるべく速筋を多く動員する、つまりは走れるだけ速く走れば良い、そんな理屈でしょうか。
 身体の炎症度合いを測定するときに用いられる「炎症性サイトカイン」と呼ばれるたんぱく質がありますが、タバタ式インターバルトレーニングやウィンゲート式インターバルトレーニング後に急激な「炎症性サイトカイン」の増加が確認さています。「炎症性サイトカイン」が高い状態にあると、痛みを発生させ怪我しやすくなるため、継続的に行う際には注意が必要です(24時間後にはトレーニング前とほぼ同値に戻ると言われていますので、慢性的に高い状態にするのは避けるべきです)。

〈実践例〉

・30”*4-6 [full/3-4’]:30秒*4-6本

 

5. 上り坂を使った練習

 上り坂を使った練習は大きく、「坂ダッシュ」と「登坂走」に分類することができます。
① 坂ダッシュ(Hill Sprint)
 上り坂を最大努力で8-10秒程度(40-60m)走るトレーニング。坂ダッシュの大きな目的の1つとしては、速筋線維を動員する能力を高めることにあります。筋線維は持久運動中、それぞれの小さな運動単位(遅筋線維)ごとにサイクルして使われていて、筋線維の全てを同時に使用しているわけではありません。この点、坂ダッシュを通して、高強度練習以外で稼働できていない速筋線維(タイプIIa線維)を刺激することに行う意義があります。トラックレースであれば、瞬発的なスプリントの局面が最後の勝負の分かれ目になりますが、普段から速筋線維にフォーカスしたような練習をしていなければ、そもそもスプリント勝負の場合の「ラストスパートで勝つ」という能力は磨けないでしょう。坂ダッシュでは臀筋群やハムストリングといった大きな筋肉を「ほぼ強制的に」使うことになるため、結果的に「体の動かし方」を学ぶことができ、フラットな場所でのスプリント(スパート練習や効率的な動きの追求)へと繋げることができます。また、坂ダッシュは最大速度よりも加速度を高めるアプローチであり、一定期間坂ダッシュで培った能力はフラットでのスプリントの最大速度を高めるのに有効であるため、平地でのスプリントの前の良い準備練習だと言えるでしょう。また、下肢を強化して爆発性を高めるだけでなく、神経筋を刺激しウェイトやプライオメトリックに似た効果をもたらすと考えられます。とりわけ、ウェイトの基礎作りからの「トレーニング効果の転移」の局面で非常に重要です。

〈実践例〉

・40-80M*4-12 [FULL/FREE(目安2-3 ‘)]:40-80M*4-12本
・100M*10 [FULL/FREE(目安3-5’)]:100M*10本
ラスト1本を200-300Mに伸ばす工夫もあり。

 主に基礎構築期に週1~2回。基本的には高負荷練習の前日(イージーな日)のJOG中もしくは終わりに導入。テンポ走等の中強度練習後に行う場合は、「高強度練習のキャパシティを高める」ことへの比重が大きい。ポイントとしては、姿勢/目線は高く保つこと。腕振りはコンパクトにピッチを出すこと。膝を持ち上げること。など

② 登坂走
 上り坂を7-8割程度の努力度で200m~数km走るトレーニング。遅筋線維(タイプⅠ筋線維)内のグリコーゲンが枯渇した際には、速筋線維(タイプⅡa筋線維:中間筋)内のグリコーゲンが使用され始めます。この点、上り坂を利用した30秒程度、または3-5分程度の登坂走ではタイプIIa筋線維を刺激することから、改善が見込めるでしょう。数kmの登坂走にまでなると、主な目的は「筋持久力の向上」へと移行していき、マラソンを含む中長距離走の基礎練習として行われます。

〈実践例〉

・30”*5-7 [free/Walkback]:30秒*5-7本
・200m*10 [free/Walkback]:200m*10本
・60”*10-12 [free/Walkback]:60秒*10-12本

 ポイントとしては、上半身の腕振り。フォームを崩さず意識しながらストライドを保つこと。(30秒以上の登坂走ではピッチを高めながら持続していくことは困難。)